番犬男子
堂々と誰かをけなす態度、改めたほうがいいんじゃないの?
見てて気分悪くなる。
「なっ!?あんた、調子乗ってんじゃ……っ!」
「チカちゃん」
あたしの近くにいた女子がカッと熱くなって言い返そうとした怒りの声を、この場に似つかわしくない穏やかな声色で遮ったのは雪乃という男子。
え?、とあたしも周りも、視界をずらす。
あたしの目の前にいる、雪乃という男子へ。
「……だよね?」
「あ、は、はい」
戸惑いながら、ぎこちなく頷く。
雪乃という男子は、柔らかく微笑んだ。
「会えてよかった。君を探してたんだ」
はい?