番犬男子
この人が、あたしを?
なぜ?
疑問ばかりが浮かぶ。
あたしでさえついていけていないのだから、当然の如く、周りはもっとついていけていない。
だが、あたしへの嫉妬や敵意は、十分すぎるほどに注がれていた。
この状況に振り回されていないのは、雪乃という男子だけだ。
「今日もお兄さんのところに行こうとしてるんだよね?違う?」
「そうですけど……」
「よければ“僕”がお兄さんのいるところへ案内してあげようか」
――あぁ、なんだ、そういうことか。
ようやく、わかった。
雪乃という男子の真意が。
その真意のために、この人は、あたしを探していたんだ。