番犬男子
□ 疑い
繁華街を過ぎ、少し遠のいた地点で、あたしの体力は底をついてきた。
はぁ……はぁ……、と途切れ途切れに呼吸する。
今日は走ってばっかだ。
「も、もう、無理……っ」
絞り出した情けない声はぎりぎり届いたようで。
雪乃という男子はやっと走るのをやめてくれた。
心配そうに気遣われ、膝に手を付きながら「大丈夫、大丈夫」と苦笑いする。
お兄ちゃんといい、この人といい、どうしてあれだけ走ったのに平気そうにしてるの?
単純に男子だから?
それとも、不良はマラソン選手並みに体力がありあまってるの?
あたしは、どっちかっていうと、体力より頭脳派。
かといって、運動は嫌いでも苦手でもなく、人並みにはこなせる。
と思ってたけど、2人の底知れない体力を目の当たりしちゃうと、人並みじゃないかもって自信喪失してきた。