番犬男子
示された到着地には、洋館ではなく公園が。
歩いてきた距離と場所を鑑みるに、ここは洋館の近くにあるらしい。
公園内に入っていく雪乃という男子に続いて、あたしも公園に踏み入れた。
遊具は、ブランコとシーソーの2つ。
あと在るのは、木製のベンチと丸裸な1本の木のみ。
そんな寂れた公園になぜか、双雷のメンバーが勢ぞろいしていた。
あまりに公園と不釣り合いで、逆に目立っている。
公園の奥にあるベンチを中心に待ち構えている双雷のメンバーに、雪乃という男子が加わる。
けれど。
そこに、お兄ちゃんの姿だけがなかった。
それでも、あたしはお兄ちゃんのことにも何も触れずに、双雷のメンバーと一定の距離を保って対峙した。
風さえも遠ざける、ピリッとした沈黙が漂う。