番犬男子




雪乃という男子が何かやらかしたんじゃない。



むしろ、あの間抜けな強盗犯よりよっぽど優秀。


ほぼ普段どおりにしていた。



しいて言うなら、嘘をついた相手が悪かった、とでも言うべきか。



「あたしを欺けるわけないじゃないですか」




一度会ったことがある人ならば、


その人の仕草、瞳の動き、喋り方を見るだけで、瞬時に脳内で普段の場合と比べて、すぐに嘘かどうか見抜ける。




「あたしは天才なんですから」



記憶力、観察力、洞察力、発想力、判断力……全てを含めて天才なの。




だから、『よければ“僕”がお兄さんのいるところへ案内してあげようか』と言われたとき、嘘だって気づいた。


お兄ちゃんのいない場所に連れて行く真意にも。



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