番犬男子
あ、そう。
もう調べてたんだ。
仕事早いね。
「でも……」と、遊馬の唇が引き結ばれる。
でも、何?
「風都千果。15歳。高校1年生。日本生まれのアメリカ育ち。2学期から白薔薇学園に留学」
話の続きとしてあたしの情報を並べていったのは、雪乃という男子。
「調べて出てきたのはこれらと、あとは数々の名誉だけ。血液型も家族構成も、わからなかったわ」
名前と年齢と学校と、それから記事。
その必要最低限の情報は、誰でも調べられるようにしてある。
「そりゃ、あたしは天才ですから?いろんな人にあたしの情報を狙われてるので、セキュリティーは徹底してるんです」
天才ゆえに、敵も多い。
敵じゃない人だって、時に面白半分に、時に強引な研究の誘いに、あたしの情報を奪おうとすることも少なくない。
血液型や誕生日などの基本的な情報も、深く掘り下げれば、重要な情報とつながってしまう。
そのような危険を初めから阻むために、情報の管理は気をつけているんだ。