番犬男子
あたしのセキュリティーを掻い潜れるやつは、そうそういない。
双雷が知りたい情報を得られないのも、そのせいだろう。
「だったら、簡単に『調べれば?』なんて言うなよな!」
「どうして?」
聞き返したら、遊馬は「は?」と眉を寄せた。
セキュリティーのことを踏まえて、あたしは言ったの。
調べれば?、って。
「あたしのお兄ちゃんがいる暴走族なら、あたしの家族関係くらい簡単に調べられるはずでしょ?」
暴走族に限らず、お兄ちゃんがいるところならできるに決まってる。
セキュリティーを掻い潜ってみなよ。
たとえ無理だったとしても、お兄ちゃんに頼んで戸籍謄本を見せてもらえば一発だよ?
「それとも、」
わざと挑発的に微笑む。
「双雷はこの程度の族なんですか?」