番犬男子




強盗犯がニヤリと口角を上げる。



何か、企んでる。


瞬時に察し、生唾を飲み込んだ。




「お前、双雷の宝塚雪乃と知り合いなんだって?」


「……は?」


「しかも、双雷に兄弟がいるらしいじゃねぇか」




どこでその情報を手に入れたのか、聞かなくてもわかった。


さっき雪乃に騒いでいた女子たちだ。



それに、昨日双雷のたまり場でお兄ちゃんにしつこくアピールしたんだ。


双雷のメンバーの誰かがあたしのことを口にして、他の不良の間で噂として流れていてもおかしくはない。


侍と番犬が所属しているというだけでも知名度が高く、実力も備えている双雷の噂だったら、あっという間に広まるだろう。




「双雷と知り合いだったら、なに?利用するのにちょうどいいって?」


「よくわかってんじゃねぇか」



わかるもなにも、それ以外に企むことなんてないでしょ。



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