番犬男子




あとちょっと走れば、突き当たりだ。


本当は強盗犯との距離間を拡げたいが、一定に保つことで精一杯だ。




「待てや、クソ女!!」



誰が待つか。


あとクソ女やめろ。


作戦が成功したらすぐに警察を呼んであげるから、楽しみに待ってなよ!





エネルギーを全て逃走につぎ込み、無我夢中で走り続ける。



突き当りに差しかかった。


ラストスパートだ。

一気にスピードを上げる。




突き当たりを曲がろうとした、その時。


視界の隅に、あたしが曲がろうと考えていた反対の位置が映る。



そこには、発進させようとエンジンを震わせるバイクと、それにまたがる1人の男子がいた。




「そいつ、捕まえてくれ!」




後方にいる強盗犯が、切羽詰まった声を放った相手は、バイクに乗る男子しかいない。



< 149 / 613 >

この作品をシェア

pagetop