番犬男子
強盗犯1人じゃなかったの!?
バイクに何かしらのトラブルがあって、強盗犯を先に行かせたんだとしたら……。
とんでもないミスを、してしまった。
もう1人、仲間がいたんだ。
作戦が砕かれ、思考が強制停止する。
その間に、バイクがあたしの目の前に迫り、逃げ場がなくなった。
あ、やばい。
本能的に、危機感を感じ取った。
無意識に、自分の手を強く握り締める。
――ドスッ!
みぞおちに、重い拳が深くえぐるように入った。
鈍い音が苦痛を引き連れて、あたしに襲いかかる。
意識が霞んで、遠ざかっていく。