番犬男子
……間違いない。
ここは、倉庫だ。
確か、地図上では、倉庫はこの街の西側にも東側にもある。
でも、あの強盗犯たちが反対側まで移動するとは考えられない。
あたしは、双雷を呼び寄せるための人質。
だったら、なおさら、双雷がすぐに来れるように、東側ではなく双雷のたまり場がある西側に留まるはず。
それに、東側までの長い道のりを、気絶したあたしを連れて移動していたら、誰かしらおかしいと感じるだろう。
リスクを最小限に考えたら、やはり、ここは西側の倉庫である確率が高い。
シャッターの向こう側から足音が耳をかすめて、咄嗟に瞼を固く閉じた。
「追っ手は来てねぇみてぇだな」
「お前がバイク乗ってて、ほんと助かったぜ」
バイク男と強盗犯の声だ。
2人が倉庫内に入ってきて、足音が反響する。