番犬男子
気絶、誘拐、人質。
強盗犯があたしの考えをそのままなぞってくれているおかげで、これからのことがすごく読みやすい。
相手が単純バカなのは、不幸中の幸いね。
「こいつ、双雷と知り合いなんだってさ。ってことは、こいつを人質に使えば、双雷の連中は俺らに手ぇ出しにくくなるだろ?」
「そこを突いて、一気に双雷を潰すっつーわけか」
「そういうこと」
下品に笑う2人に、イライラが募る。
お兄ちゃん率いる双雷を潰すだって?
よくもまあ、あんたたちレベルが簡単に言ってくれるね。
「そんで、俺ら魁皇【カイオウ】がトップ争いに躍り出るんだ。なかなかいい作戦だろ?」
魁皇。
話の流れ的に、暴走族のひとつなんだろう。
双雷より実力は下らしい。