番犬男子
強盗犯とバイク男も不良だったとは。
実は、薄々勘づいていた。
強盗犯が双雷の名を口にしたあたりから。
それなりに敵の情報をゲットできた。
そろそろ起きて……。
「ただ、その前に、」
強盗犯の話が続き、起きるのをためらう。
「昨日、こいつのせいで強盗に失敗したんだ。寝てるうちに、やり返しとかないとな」
勝手に責任転嫁しないでくれる?
あたしのせいじゃなくて、あんたが強盗しようとしたのが悪いんでしょうが。
なんて、心の中でグチグチ言っていても仕方がない。
このまま寝てるフリをしていたら、暴力を振るわれる。
そんなのぜーったい嫌だ。
「まずはその憎たらしい顔をボコボコに殴ってやるか」
「……やめて」
冷たく呟きながら、瞼を上げた。