番犬男子




愚問?


愚問なんかじゃないよ。



普通、来ない。


迷惑にしか感じない。



なのに。



「あ、たしを、助けるために……?」


「当たり前だろ」



どうして、お兄ちゃんはなんの迷いもなく、そう言えるの?



「一緒に住んでるやつが危ねぇ目に遭ってるかもしれねぇのに、助けに行かねぇわけねぇだろ」




どうしようもなく泣きたくなって、お兄ちゃんの背中に額をくっつける。


涙が一粒、頬を伝った。




「……とう」


「え?」


「ありがとう、お兄ちゃん」




お兄ちゃんが助けに来てくれた時、まるであたしだけの王子様みたいだなって本気で思ったんだよ。


って言ったら、お兄ちゃんは笑う?




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