番犬男子






当たり前のように、あたしを心配して守ってくれたこと。


あたしのヘルメットはあって、お兄ちゃんの分はないこと。


あたしを抱きしめた時のお兄ちゃんの手のひらが、汗ばんでいたこと。


心なしか、バイクの速度が今朝より遅いこと。




全部、お兄ちゃんの優しさ。




もっと、もっと、好きになっていく。


どれだけあたしをお兄ちゃんのトリコにさせる気なんだろう。






たまり場に近づいてきて、お兄ちゃんが口を開いた。



「さっきあいつらに言われたんだ」



あいつらって、双雷のみんなのことだよね。



何を言われたの?


あたしに関係すること?



「お前の言うこと、ちょっとは信じてやれって」




< 184 / 613 >

この作品をシェア

pagetop