番犬男子
「まあ確かに、お前、嘘ついてる感じしねぇし」
お兄ちゃんのお腹らへんに掴まっているあたしの手に、お兄ちゃんの手が優しく触れた。
お兄ちゃんの温もりに、胸が高鳴る。
「……お前のこと、信じてみることにした」
まだまだ先だと思っていた言葉を、囁かれた。
これは、夢?
今の、聞き間違いじゃ、ない?
あたしの勝手な妄想だったらどうしよう。
「ほ、本当に?」
涙ぐんで、情けなく震えた声は、ひどくか細くて。
それでも、お兄ちゃんには届いたようで、照れくさそうにあたしから手を外した。
「言っとくけどな、少しだけだぞ、少しだけ!妹はいねぇっって決めつけんのはやめただけだ」
しっくりこねぇ感じはあったし、様子見だ。
そうボソボソ付け足すお兄ちゃんの耳は、うっすら赤らんでいた。