番犬男子
幹部室は、古びてるとはいえ豪華な洋館の一室なだけあって、言わずもがな豪華だ。
あたしが今座っている白のソファーは、ものすっごくふわふわで、座り心地は最高。
素材も質感もいい。
他の赤と黒のソファーも、白のソファーと同じ種類で、1色でシンプルなのにあるだけでおしゃれさとゴージャス感が増すという優秀すぎるアイテムだ。
これ、確実に高級品だよね?
不躾ながら、一番そういうのに詳しそうな雪乃に値段を聞いてみたら。
「さあ?」
曖昧に首を傾げられた。
さあ?、ってなんだそれ。
高いか安いかだったら、絶対高いでしょ。
それとも、値段を付けられないほどすごい、って意味の『さあ?』だったのかな。
広々とした室内には、他にも、たくさんの本を収納した本棚、お兄ちゃんのために用意されたと思しきティーセットや様々な茶葉などをしまっている棚。
その横には、ちょうど幸汰がコーヒーを淹れている、立ち作業用にぴったりの高めのテーブルがある。
ホールよりワンサイズ小さめのシャンデリアも、外を一望できる大きな窓も、幹部室をより一層華やかに飾り立てていた。