番犬男子
それでもまだ、子犬のイメージが強く、確信は持てなくて。
今日蓋を開けてみれば、あたしの想像をはるかに超える猛犬だった。
口調も雰囲気もガラリと変貌して、一言で言えば「お前誰だよ」状態。
やるせなく顔を上げると、
「ガオッ!!」
「!?」
視界に幸汰の顔がドアップで映って、びっくりする。
いつの間にあたしの正面まで来てたの!?
「――なんちゃって」
ペロッと舌を出しておどけている態度とは裏腹に、そんなんだと食われるぞ、とあたしに警告しているようだった。
一種の脅しのつもり?
あたしはこの程度じゃ負けないよ。
未だ、幸汰は、複雑な警戒網の中にあたしを閉じ込めている。