番犬男子









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あたしと幸汰が路地裏を去った10分後。





「おい、いたぞ!」



慌ただしい足音と共に、数人の警察が到着した。


路地の奥で、まるで死体のように倒れているバイク男を仰向けにさせると、警察官同士が顔を見合わせて、間違いないと言わんばかりに頷いた。




バイク男も、強盗犯と同じく、数々の『悪いこと』を犯していたらしい。


ひったくりや万引き、民間人への一方的な暴行、殺人未遂まがいなことまで……他にも数え切れないほど。



捕まえられたのは、初犯のみ。


バイクですぐに逃げられてしまうため、現行犯逮捕には至らず、捜査を続けていたようだ。



路地や路地裏は不良の庭。

警察よりも土地感がある。


そんな不良に有利な活路を利用されれば、警察が発見しても撒かれてしまう。




だからこそ、双雷が同じ不良として、強盗犯とバイク男を片付けなければいけなかった。




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