番犬男子
「ん……?」
1人の警察が、周りを見渡し、眉をひそめた。
「どうした?」
「この場にもう1人倒れている少年がいると連絡を受けたはずなんですが、どこにもいないんです」
「なに!?」
この場に駆けつけた警察官全員が、協力して辺りを探すが、やはりもう1人……強盗犯の姿はなかった。
通報者の間違い、という憶測も飛び交った。
けれど、同じ人物から3度目の通報ということもあり、可能性は低い。
逃げられた可能性が、一番高かった。
実際、強盗犯は逃げていた。
最後の力を振り絞り、魁皇の下っ端仲間に電話をして助けを求めたのだ。
警察の目を逸らすために、仲間であったはずのバイク男を1人置き去りにして。