番犬男子
□ 不適合
夏休みが明けた。
今日からついに2学期が始まる。
「風都さん、ここで待っていてくれる?」
ある教室の前。
クラス担任の西篠【サイジョウ】先生が、扉を開ける前にそう言った。
見た目がふくよかな西篠先生は、穏やかで優しそうな女性で、初対面でも接しやすい。
「はい。呼ばれたら入ればいいんですよね」
「ええ、お願いね」
ホームルーム開始のチャイムが鳴る。
それを合図に、西篠先生は教室内に入っていった。
ここは、白薔薇学園。
あたしが2学期の間お世話になる、留学先の学校だ。
日本随一の名門進学校なだけあって、校舎はとても大きくて綺麗。
教室に来る途中で通った図書室は無駄に広く、最新設備も完備してあり、勉強しやすい環境をばっちり整えてある。