番犬男子
女子の制服は、白にも見える淡いクリーム色を基調とした、清楚なワンピース型。
胸元にはリボンやネクタイではなく、メイド服にもよくついている、ジャボという名のひらひらした飾りが施されている。
白薔薇学園の女子の制服は、全国的にとても可愛いことで有名らしく、あたしもその可愛さに一目惚れしてすぐ気に入った。
ちなみに男子の制服は、ブレザーにネクタイで割と普通。
女子の制服だけこだわったみたいだ。
ふと扉の小窓越しに、西篠先生と目が合った。
入ってきて、と目が言っている。
あたしは緊張なんか一切せずに、扉を開けた。
クラスメイトの興味津々な視線を浴びながら教壇の隣に立つと、西篠先生が黒板にあたしの名前を書き始めた。
風都千果。
でかでかと記された名前を背に、笑みを浮かべる。
「はじめまして。アメリカから来ました、風都千果です。白薔薇学園の生徒として過ごすのは2学期だけですが、どうぞよろしくお願いします」
こういうのは初めが肝心。
丁寧にお辞儀をしたあたしに、パチパチと拍手が送られる。