番犬男子




あれ?意外と反応が悪いな。



顔を上げて、教室全体を見据える。


クラスメイトのほとんどが物珍しそうにあたしを窺っていた。




「あの子が、噂の天才少女?」


「結構フツーだね」


「アメリカの大統領と対談したんだろ?」


「ノーベル賞を受賞する日も近いだろうって記事に書いてあったぜ」


「2学期のテストは彼女がトップを総なめだろうな」




今あたしをフツーって言ったの誰だ。

どんなの想像してたの。


IQと外見は関係ないでしょうが。




口々に喋りだしたクラスメイトは、一向に私語を慎もうとしない。




自己紹介後の反応が悪かったのは、このせいか。



留学することがすでに決まっていた夏休み前から、あたしの噂が良くも悪くも流れていたようで、生徒はあたしを気にかけていた。


そして今日ようやく本人が登場して、ざわめきが広がってしまったらしい。



名門進学校といえど、天才なあたしを放ってはおかないってことか。



< 231 / 613 >

この作品をシェア

pagetop