番犬男子
あれ?意外と反応が悪いな。
顔を上げて、教室全体を見据える。
クラスメイトのほとんどが物珍しそうにあたしを窺っていた。
「あの子が、噂の天才少女?」
「結構フツーだね」
「アメリカの大統領と対談したんだろ?」
「ノーベル賞を受賞する日も近いだろうって記事に書いてあったぜ」
「2学期のテストは彼女がトップを総なめだろうな」
今あたしをフツーって言ったの誰だ。
どんなの想像してたの。
IQと外見は関係ないでしょうが。
口々に喋りだしたクラスメイトは、一向に私語を慎もうとしない。
自己紹介後の反応が悪かったのは、このせいか。
留学することがすでに決まっていた夏休み前から、あたしの噂が良くも悪くも流れていたようで、生徒はあたしを気にかけていた。
そして今日ようやく本人が登場して、ざわめきが広がってしまったらしい。
名門進学校といえど、天才なあたしを放ってはおかないってことか。