番犬男子
窓際の一番後ろという絶好のあたしの席で、あたしは1人、おばあちゃんが作ってくれたお弁当を広げた。
卵焼き、タコさんウインナー、ほうれん草の炒め物、きゅうりの漬物、唐揚げ、それから具が違うおにぎりが2つ。
どれも美味しそう!
さすが、おばあちゃん!
「いただきます」
卵焼きを一口食べ、ほんのりとした甘さにほっぺが落ちそうになる。
お兄ちゃんも、おばあちゃん特製お弁当を食べてるんだよね。
お兄ちゃんと同じお弁当を食べるって、なんか家族っぽくていいなあ。
終始ニタニタしながら、あっという間にお弁当を平らげた。
「ごちそうさまでした」
きちんと合掌をしてお弁当をしまった後、あたしは教室を出た。
昼休みの余った時間は、どこに何の教室があるのか、校舎内を見て回る。
本当は、クラスメイトの誰かに、校舎案内を頼もうかとも思ったんだけど。
みんなしてあたしを腫れ物に触るように扱ったり、遠くであたしをジロジロ見ながら噂したりしてるから、頼みづらかったんだよね。
それに、あたし1人のほうが気楽でいいし。