番犬男子
廊下を歩いていても、噂の留学生として注目される。
あたしは全く気にしていないフリをしつつ、順々に教室の場所を覚えていった。
教室も十分広がったが、音楽室や美術室などの特別教室も言わずもがな広かった。
他にも、舞台でもできそうな講堂に、しっかり休息できること間違いなしの保健室、文武両道をアピールしてるかのような立派なグラウンド。
どこもかしこも、学校という概念を覆しそうなくらい豪華だった。
いくら数々の著名人を輩出してる超名門校だからって、お金かけすぎじゃない?
双雷のたまり場以上だよ、これ。
驚きを超えて、呆然としてきた。
最後に改めて、職員室や図書室のある1階をじっくり見ておこうと、階段を下りた。
「宝塚くん」
職員室のほうから、覚えのありすぎる名前が聞こえた。
反射的に、階段を下りきったところで足を止める。
宝塚?