番犬男子
あたしに続いて、幹部室からみんなが出てきた。
ホールに、双雷のメンバーが全員そろう。
「報告会を始める」
階段の前に立って告げたお兄ちゃんの一言で、今回の報告会が始まった。
あたしは邪魔にならないように、隅っこにいる。
報告会ではまず、簡単に点呼を取り、戻ってきていない人がいないか確かめた。
次に、何か事件や異常事態がなかったか、新しい情報を掴んだか、それぞれのチームごとに聞いていった。
「魁皇の下っ端が水面下で企んでいる、という噂を聞きました」
ある下っ端の報告に、あたしは顔を険しくさせる。
魁皇の下っ端が?
「俺も聞きました」
「俺もっす」
数人の下っ端たちも賛同した。
魁皇って、あの強盗犯とバイク男が所属する暴走族だよね?
しかも、噂されてるのは、悪いことを好んでやってる下っ端。
嫌な予感しかしない。