番犬男子
あくまで、普通なら、ね。
「だけど、状況が普通じゃなかったら?」
最近、魁皇の下っ端に非常に関係のある、普通じゃない出来事が3つも起こった。
強盗犯があたしに強盗を阻止されて。
腹いせにあたしを誘拐した挙句に、助けに来た侍から逃げて。
さらには、番犬にこてんぱんに始末された。
しかも、現在の魁皇はどうなってた?
『最近の魁皇は、下っ端がいろいろやらかしてて、収拾つかないみたいで。魁皇の幹部以上が手をこまねいてる状況だって聞いてる』
魁皇の上の立場の人たちでさえ、下っ端を抑えられていないのが現状。
そんな粋がってることで有名な魁皇の下っ端の鼻を、双雷や双雷と繋がりのあるあたしがへし折った。
当然、魁皇の下っ端は逆ギレして、仕返しを考えるだろう。
しかし、相手は、「最強」と謡われてる双雷。
今までみたく無計画に突っ込めば、あたしを誘拐した時と同じ結果になる。
そう長々と説明し、一区切り置いてから話した。
「だから、今回はバカなりに頭を使ってるってわけ」
ただ、さすが格下の暴走族の中でもさらに格下の下っ端、とでもいうべきか。
水面下で動いてるにもかかわらず、こんなに噂が出回ってるとか間抜けすぎる。