番犬男子




各々意見を言って、ざわつき出す中。



「しばらくは様子見だ」



お兄ちゃんの言葉で、一気にしん……と静まり返った。



誰もが意外そうにしていた。


あたし以外は。



うん、だよね。

あたしもお兄ちゃんに賛成。




「様子見?どうして?」


「俺ら双雷に歯向かおうとしてるやつらでも、一応魁皇っていう族に属してるやつらだ。俺らが動く前に、魁皇の総長らがけじめとして何か対応すんだろ」



雪乃の疑問に対して、お兄ちゃんが冷然と説明した。




水面下で計画してるのは、たぶん魁皇の中でも下っ端だけ。


幹部以上の人たちも協力していたら、こんなに早く噂は流れず、もっとうまくやっていたはずだ。



とっくに噂を耳にしてるであろう幹部以上の人たちが、同じ暴走族の一員として、命知らずな復讐劇を用意してる下っ端を戒める責任がある。



たとえ放任主義だとしても、双雷に挑もうとしてることの意味と、それがもたらす結果を、幹部以上の人たちなら察して下っ端たちを止めるだろう。



< 270 / 613 >

この作品をシェア

pagetop