番犬男子
□ 意味
9月下旬。
だんだん白薔薇学園にも慣れてきた頃。
放課後になり、あたしは駅からダッシュで家に帰り、おばあちゃんと思い出話をしてから、いつものように早着替えをして家を出た。
最短ルートで双雷のたまり場に行こうと、栄えた繁華街をよそ見せずに通る。
繁華街を抜けると。
「あれ?」
見覚えのある背中を見かけた。
「稜!」
「…………」
声をかけても、止まってくれる気配はなし。
無視ですか、そうですか。
あたしはムッとしながらも、駆け足で稜の隣に並んだ。
「こんにちは」
「……ちは」
無視されなかっただけいいか。