番犬男子
近道?
たまり場に?
人1人しか通れないような細すぎる路地は、地図には載っていない。
不良だからこそ知っている、本当の最短ルート、か。
新たな発見は、心を躍らせる。
路地を通る稜を追いかけて、あたしも稜の言う近道を行くことにした。
夕焼けの光を遮断する路地の奥まで行くと、通ってきた路地に比べたら大分広い路地裏に出た。
「ここよく不良いるからな」
またポツリ、稜の呟きが落とされた。
注意しろよ、と言われた気がして、頬を緩める。
「心配、してくれたの?」
嬉々として問いかけたが、相も変わらずスルーされた。
たまり場のある方向に路地裏を歩いていく稜に、せっかく緩んだ頬がひきつる。
ここでも無視かい。