番犬男子
不意に、遊馬があたしの肩に手を置いた。
遊馬を見ると、遊馬の目が言っていた。
場所を変えて、そいつを弔ってやろう、と。
あたしは頷いて、カラスを抱えつつ立ち上がった。
この場を去った後、残された野次馬は負い目を感じ、しばらく動けなかった。
遊馬に連れられてやって来たのは、夏休みにお兄ちゃん以外の双雷メンバーがあたしを四面楚歌の状況で問いただした、洋館近くの公園だった。
相変わらず、公園は廃【スタ】れていて、人気がまるでない。
あたしと遊馬は、丸裸の淋しい木の横にカラスの亡骸を埋めた。
両方の手のひらを合わせて弔う。
カラスさん、どうか安らかに眠って。
「きっとさ、」
遊馬の呟きに、閉じていた瞼を上げる。
「こいつもお前みたいないいやつに葬儀をしてもらえて、天国で喜んでると思うぜ」