番犬男子




遊馬は泣きそうになりながら、小さなルビーをあしらったピアスをぎゅっと握る。



「そんな意味があったんだな。んじゃあ、もっともーっと大事にしねぇと!」



思わずこぼれた笑みは、太陽のようで。


遊馬の幸せを祝福するみたいに、ルビーが艶々しく光った。



「教えてくれてサンキューな、千果!」


「こちらこそ、お母さんのこと話してくれてありがとう」


「え?なんで礼?」


「遊馬の話を聞けて嬉しかったから」



遊馬は初めキョトンとして、照れくさそうにへへっと鼻をこすった。




かけがえのない思い出を、共にわかち合えてよかった。


ありがとう。


明日も、宝物のそのピアスを守って、遊馬らしくいてね。





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