番犬男子
遊馬が落ち着け落ち着け、となだめてくるが、速攻跳ね返す。
今頃あたしの知らないところで、お兄ちゃんと幸汰が2人きりで行動してるっていうのに、落ち着けるわけあるかっ!
パトロール中だからまだ安心だけど、これが休日の遊びだったら。
想像するだけでムカムカしてくる。
あたしもお兄ちゃんと2人きりでどこか行きたい!
「2人がどこ行くかは大体繁華街周辺ってことしか知らねぇから、今どこにいるかはさすがにわかんねぇわ。ごめんな」
尾行ゲームに付き合わせてしまってる身としては、遊馬に謝られると良心が痛む。
きちんと情報収集してルートを確認しておかなかったあたしも悪いし。
「ううん、謝らないで。とりあえず繁華街に戻ろう」
運が良ければ、今もお兄ちゃんたちが繁華街の路地を見回ってるかもしれない。
あたしの提案に賛成した遊馬と一緒に、サングラスはかけずに繁華街へ走っていった。