番犬男子




遊馬が落ち着け落ち着け、となだめてくるが、速攻跳ね返す。


今頃あたしの知らないところで、お兄ちゃんと幸汰が2人きりで行動してるっていうのに、落ち着けるわけあるかっ!



パトロール中だからまだ安心だけど、これが休日の遊びだったら。


想像するだけでムカムカしてくる。



あたしもお兄ちゃんと2人きりでどこか行きたい!




「2人がどこ行くかは大体繁華街周辺ってことしか知らねぇから、今どこにいるかはさすがにわかんねぇわ。ごめんな」



尾行ゲームに付き合わせてしまってる身としては、遊馬に謝られると良心が痛む。


きちんと情報収集してルートを確認しておかなかったあたしも悪いし。



「ううん、謝らないで。とりあえず繁華街に戻ろう」



運が良ければ、今もお兄ちゃんたちが繁華街の路地を見回ってるかもしれない。



あたしの提案に賛成した遊馬と一緒に、サングラスはかけずに繁華街へ走っていった。




< 312 / 613 >

この作品をシェア

pagetop