番犬男子




あたしの通う白薔薇学園は、おばあちゃんの家の最寄り駅から2駅離れたところにある。


お兄ちゃんの通う北高校は、その名の通り街の北側にあり、徒歩で行ける距離だ。



そのため、一緒に登校するといっても、駅に向かう道のりの途中まで。



それでも一緒がいい!



だって、帰りは、時間的にも移動手段的にもバラバラだし、お兄ちゃんはとっととたまり場に行っちゃって待ち合わせもできないだろうし。


朝しかチャンスがないんだもん。




お兄ちゃんがあたしとの登校を避けてる理由は、単純にあたしが鬱陶しいからっていうの以外にも、

白薔薇学園の女子の制服が隣にいると目立って嫌だから、っていうのもありそうだけど。





「お兄ちゃん!」


「……あー、わかったわかった。一緒に行ってやるから離れろ」


「ほんと!?わーい!」



押しに押しまくった結果、お兄ちゃんがやむを得ず負けてくれた。



あ、今、「うぜぇ」って呟いたでしょ。


けど、聞き逃してあげる。



途中までだけどお兄ちゃんとの初登校できる幸せに免じて、ね。




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