番犬男子




警察に事情聴取される前に、さっさと出て行っちゃおう。




「すみません、会計お願いします」


「えっ、あ、はい」



店員は一瞬固まってから、ぎこちなく会計を進めていく。



ポップコーン、マシュマロ、緑茶2つ。


それだけバーコードを読み取って、値段を読み上げた。



「あの、炭酸ジュースは?」


「それはいいんです!」


「いや、でも……」


「助けてくださったので、せめてこの分は私に負担させてください!」



あたしは財布をカバンから取り、瞼を伏せる。



「違いますよ?」


「え?」


「さっきも言いましたけど、助けたつもりなんてありません。自分のためにやったことです」



値段ぴったりのお金を出し、お菓子と飲み物の入ったコンビニ袋を手に取る。



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