番犬男子
自然と足を止めてしまった。
先行くお兄ちゃんの背中に手を伸ばそうとして、ためらう。
遠い。
近づいても近づいても、遠いまま。
そりゃそうだよね。
お兄ちゃんはあたし自身を少し信じてくれている。
けれど、妹としてのあたしは拒むのをやめただけ。
妹のあたしがいくら積極的に歩み寄っても、お兄ちゃんは幼い頃の記憶に操られてるみたいに、無自覚に離れていく。
嫌だよ。
離れないで。
あたしのこと、思い出して。
あと2か月。
距離を埋められずにさよなら、なんて、絶対したくない。
『あたしが責任もって、ハッピーエンドにしてくるから』
日本に来た日、お母さんに電話で伝えたあの宣言を、嘘にはさせない。