番犬男子




去り際に、「だけど」と呟いた。



「せっかくなので、お言葉に甘えて」


「は、はい!本当にありがとうございました!!」




あたしはお礼を聞きながら、警察官とすれ違うようにしてコンビニを出た。


警察官に引き止められかけたが、聞こえていないフリをして、コンビニから遠ざかっていった。







危機が過ぎ、平穏を取り戻したコンビニでは。


金髪と茶髪の男子2人組が、もうここにはいないあたしの話をしていた。




「さっきの女、すごかったな」


「はい。僕たちの出る幕なかったですね」


「そうなんだよ!!せっかくケンカできると思ったのによー」


「相変わらずケンカ好きですね」



あたしに活躍の場を奪われて悔しそうにする金髪の男子に、茶髪の男子が苦笑いする。


金髪の男子が、あたしが去っていった方向に視線をずらした。




「本当に、何者なんだろうな」


「さあ……?」





< 33 / 613 >

この作品をシェア

pagetop