番犬男子
去り際に、「だけど」と呟いた。
「せっかくなので、お言葉に甘えて」
「は、はい!本当にありがとうございました!!」
あたしはお礼を聞きながら、警察官とすれ違うようにしてコンビニを出た。
警察官に引き止められかけたが、聞こえていないフリをして、コンビニから遠ざかっていった。
危機が過ぎ、平穏を取り戻したコンビニでは。
金髪と茶髪の男子2人組が、もうここにはいないあたしの話をしていた。
「さっきの女、すごかったな」
「はい。僕たちの出る幕なかったですね」
「そうなんだよ!!せっかくケンカできると思ったのによー」
「相変わらずケンカ好きですね」
あたしに活躍の場を奪われて悔しそうにする金髪の男子に、茶髪の男子が苦笑いする。
金髪の男子が、あたしが去っていった方向に視線をずらした。
「本当に、何者なんだろうな」
「さあ……?」