番犬男子




幸せ気分なあたしは、思う存分もったいぶってから口を開いた。



「お兄ちゃんがバイクでここまで送ってくれたの!」



今までだったら、平日休日問わず、お兄ちゃんは先に行ってた。


でもね。

今日は違った。



お兄ちゃんと初登校して欲が膨らんじゃって、学校だけじゃなくたまり場にも一緒に……どうしても一緒に行きたくて。


いつもより気合を入れて、玄関に移動するお兄ちゃんを引き止めて『一緒に行こう!』って誘った。



『毎日毎日飽きねぇな』


『だって、一緒に行きたいんだもん』


『……どうせ断っても、また言うんだろ?』


『うん!当たり前じゃん!』



即答するとため息を吐かれた。


お兄ちゃんが大好きだから、懲りずに何度でも言うよ。



そばにいさせて、って。



そしたらね、お兄ちゃんがバイクのヘルメットを渡してくれたの。


『行くぞ』ってぶっきらぼうに呟いて。



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