番犬男子
あたしをバイクの後ろに乗せてくれて、本当に嬉しかった。
夏休みに誘拐されたあたしを助けに来てくれた帰り以来、2度目だったから余計に。
これでもね、もう乗せてはくれないんじゃないかって寂しかったんだよ?
「誠一郎とニケツ!?いつそんなに仲良くなったんだよ!」
遊馬の反応を鑑みるに、どうやらお兄ちゃんのバイクに乗る女子はとーっても珍しいらしい。
あたしはお兄ちゃんの特別なんだって自惚れてしまう。
「実はね、最近ついに、お兄ちゃんが『大好き』って言ってくれたの」
「えええっ!?」
えっ、遊馬、信じたの?
純粋だねぇ。
「騙されるな、遊馬。嘘だ、嘘」
「あ、『嫌いじゃねぇ』だったかも」
「全然違ぇじゃねぇか!」
お兄ちゃんの助言に続けて、とぼけたように訂正したら、遊馬がたまらずツッコミを入れる。
それでも、十分進展したでしょ?