番犬男子
ニヤニヤが止まらないあたしの髪をいじりながら、雪乃は細い目をさらに細める。
「よかったわね、セイちゃんとの距離を縮められて」
「うん!」
編み込みできたわよ、と付け加えて、雪乃に手鏡を差し出される。
わあ、上手!
雪乃ってなんでもできるんだね。
あたしもできるはできるけど、暇があったらヘアアレンジよりも別のことをしちゃうんだよね。
研究とか、情報収集とか、お兄ちゃんのスクラップとか。
「ありがとう、雪乃」
「こちらこそ、髪をいじらせてくれてありがとうね」
あたしはすぐさまお兄ちゃんに、右サイドを編み込んだ髪型を見せびらかした。
「お兄ちゃん、どう?可愛い?」
「……可愛いんじゃねぇの?」
適当で投げやりな言い方だったけど。
お兄ちゃんに可愛いって褒められた。
本日2つ目のいいことだ。