番犬男子




ほっぺに、挨拶代わりのキスをする。



「よく来たねぇ。待ってたよ」



おばあちゃんに中に入るよう促され、玄関に入った。



昔ながらの一軒家。


和風な感じが、なんだか居心地いい。



「これからお世話になります!」



靴を脱ぐ前に礼儀正しく頭を下げると、おばあちゃんは目を線にして微笑んだ。




おばあちゃんと会うのは、“彼”と同じで10年振り。


でも、定期的に連絡を取り合っていたから、本当は久し振りな気がしていない。





居間に行き、おばあちゃんにアメリカ土産を渡した後。


キョロキョロと周りを見渡す。



「ところで……」


「なんだい?」


「今、この家っておばあちゃん1人?」



“彼”の姿が見当たらないみたいけど。



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