番犬男子
これは、幸汰なりの愛。
もしくは、一種の執着なんだろうな。
幸汰の裏の顔は、愛するがゆえに生まれた黒い感情が作ったんだ。
「ある日そのことが総長にバレちゃって、」
『影で』とはいっても、双雷に関連し、かつ双雷を敵視して貶すやつらばっかり狙ってたら、そりゃお兄ちゃんも怪しむよね。
「ああ終わったって、本気で覚悟した」
いつの間にか殺気は消えて、あるはずのない耳としっぽが、しゅん……と垂れ下がったように見えた。
大好きな人に絶望されたら、人生終わるよね。わかる。
お兄ちゃんが、記憶が戻ってもあたしを拒んだら…………うん、メンタル削られて、生きてる実感が湧かない。
それでも、あたしは。
どれだけお兄ちゃんがあたしを嫌っていても、妬んでいても、もう傷つけないように伝えなくちゃ。
「覚悟して、それでどうなったの?」
「総長は呆れながらも、『俺ら双雷のために頑張ってくれたんだな』って僕のことを認めてくれたんだ」
どんな愛でも受け止めるお兄ちゃん素敵!
優しすぎ!
大好き!!