番犬男子
「お兄ちゃん、今から2人で出かけよう!」
2人で、を強調してもう一度誘う。
お兄ちゃんを含めた3人は、突然のことに頭がついていけてないようで、首をひねった。
それ以外の稜は、早くも自分の世界に戻ってる。
「今すぐに!!」
そんな4人をお構いなしに、あたしはお兄ちゃんにズンズン近づいて急かす。
デートしよ、デート!
「やけに遅かったけど……チカちゃん、どうしたのかしら」
「つーか、茶は?」
「……説明しろ、幸汰」
お兄ちゃんの隣に座ったあたしに片腕を揺らされてるお兄ちゃんが、扉付近に立ったままの幸汰に、脱力した視線を送った。
幸汰はひきつった返事をして、説明する。
「えっと、その……番茶の茶葉をストック分も全部使い切ってしまったんです。今日の分は淹れたんですが、千果さんと話してる間に冷めてしまって」
「お茶が冷めるくらい話し込んだのね。ふふっ、一体どんな話をしたのかしら。気になるわ」
雪乃が興味津々にあたしを見てるけど、なんだか妙に恥ずかしいから教えない。