番犬男子
もちろん、私欲以外にも、日本に行かなければいけないちゃんとした理由がある。
あたしが通っている、アメリカの有名な高校。
そこに今年入学したあたしは、トップの成績、数々の名誉な賞や実績を収めた。
そんな自他共に認める天才のあたしを、日本随一の名門進学校のひとつである白薔薇【シロバラ】学園が、『2学期にぜひ、交換留学生として我が校に!』と招待してくれたんだ。
それでもやっぱり、あたしの第一の目的は、“彼”なんだけどね。
あたしはおもむろに、カバンからスクラップブックを取り出した。
このスクラップブックの中には、“彼”の写真や、あらゆる手段を駆使して調べ上げた情報を詰め込んである。
日本までの残りわずかな時間。
このスクラップブックを見て、期待を膨らましておこう。
スクラップブックをめくっていく。
1ページ目には、幼い頃に2人で撮った写真。
2ページ目には、ネットに載っていたのを印刷した、“彼”が載っている去年の新聞記事。