番犬男子
とりあえず、西の方角に行ってみよう。
行ってみたら何かわかるかもしれない。
おばあちゃんの家を離れ、先ほど強盗騒ぎがあったコンビニの前を通り、繁華街付近にやって来た。
この繁華街を西に抜けた先に、具体的な道順は知らないが、“彼”がいるだろうたまり場があるはずだ。
あたしの頭脳があまり役に立たないなら、勘に頼るしかない。
それでも無理だったときは、誰かに聞こう。
夏休みということもあり、多くの人で賑わう繁華街。
暑さがより際立つ中、繁華街を歩いていく。
人混みを避けて、道の端っこを歩いていると。
「なあ、聞いたか?」
ふと、路地のほうから、小さな声が聞こえてきた。