番犬男子




作戦会議やら、計画の確認やら、かしこそうに述べているが、実際は全く正反対。


それもそうだろう。

どれだけ人数を集めても、つまるところ、頭の悪いやつばかりなのだ。



そんな少々やばい連中が、いくら水面下で無い脳を駆使して企もうと、双雷を出し抜けるレベルどころか、結局単純明快なアイデアしか浮かばない。


イカれた小童【コワッパ】らしい、前に試したことがあるようなシンプルかつわかりやすい内容を、改めて確認するところなど、片手で数えられるほどしかない。


ましてや、計画し始めた段階から、噂が流れてしまっている。



とんだ阿呆たちだ。




自殺行為に等しいこの計画のリーダーは、言わずもがな、コンビニで強盗しようとした、あの逃げ足だけが取り柄の強盗犯だ。



強盗犯は、番犬である僕と総長と千果さんに屈辱感を植え付けられたせいで、計画参加者の中でも、特に盲目的に報復にこだわっていた。




「今度こそ、ぶっ潰してやる」




元魁皇の下っ端が双雷に勝てる確率は、宝くじが当たるより低い。


だが、そこには「無理だやめろ」と止める常識人は1人としていなかった。




「待ってろよ、クソ女。また拉致ってやる」



強盗犯が、クックッ、と不気味に笑う。



「せいぜい余裕ぶってろ、双雷。お前らを倒すのは、俺たちだ」





道化の戯言【タワゴト】は、ある意味、残酷だ。




< 424 / 613 >

この作品をシェア

pagetop