番犬男子
作戦会議やら、計画の確認やら、かしこそうに述べているが、実際は全く正反対。
それもそうだろう。
どれだけ人数を集めても、つまるところ、頭の悪いやつばかりなのだ。
そんな少々やばい連中が、いくら水面下で無い脳を駆使して企もうと、双雷を出し抜けるレベルどころか、結局単純明快なアイデアしか浮かばない。
イカれた小童【コワッパ】らしい、前に試したことがあるようなシンプルかつわかりやすい内容を、改めて確認するところなど、片手で数えられるほどしかない。
ましてや、計画し始めた段階から、噂が流れてしまっている。
とんだ阿呆たちだ。
自殺行為に等しいこの計画のリーダーは、言わずもがな、コンビニで強盗しようとした、あの逃げ足だけが取り柄の強盗犯だ。
強盗犯は、番犬である僕と総長と千果さんに屈辱感を植え付けられたせいで、計画参加者の中でも、特に盲目的に報復にこだわっていた。
「今度こそ、ぶっ潰してやる」
元魁皇の下っ端が双雷に勝てる確率は、宝くじが当たるより低い。
だが、そこには「無理だやめろ」と止める常識人は1人としていなかった。
「待ってろよ、クソ女。また拉致ってやる」
強盗犯が、クックッ、と不気味に笑う。
「せいぜい余裕ぶってろ、双雷。お前らを倒すのは、俺たちだ」
道化の戯言【タワゴト】は、ある意味、残酷だ。