番犬男子
□ 対立
11月に入った。
秋から冬へ移り変わる途中の季節。
日に日に寒さがひどくなっていく。
お兄ちゃんとは、相変わらずだ。
額の傷はあたしのせいだと明かした後も、あたしがわざとらしく空元気に振舞ったおかげで、お兄ちゃんも普段通りに接してくれた。
お兄ちゃんは、変わらない。
難しいな。
勇気を出して告白したけれど、少しも記憶が戻ってない。
タイムリミットは刻々と迫ってきているのに、何も変えられていない。
あたしにも、最後の手段がある。
でも、……やりたくない。
あれだけは、絶対に。