番犬男子
本日の全授業が終了し、キーンコーンカーンコーン、とチャイムが校内中に鳴り響いた。
放課後になり、教室が一気に騒がしくなる。
あたしは授業のノートをしまって、代わりにカバンの中からクリップでまとめたレポートを取り出した。
このレポートは、白薔薇学園があたしを留学生として招待した際、白薔薇学園の改善点を教えてほしいとお願いされ、1人の生徒として白薔薇学園を知っていきながら作成したもの。
「うん、我ながらうまく書けてある」
昨日完成したレポートをパラパラめくりながら、自画自賛する。
これは誰に提出したらいいんだろう。
理事長?教頭先生?
一番渡しやすい、担任の西篠先生でもいいのかな。
「西篠先生でいっか」
わざわざ理事長や教頭先生に渡しに行ったら、長々と話をさせられそうだし。
お兄ちゃんに会いたい気持ちを抑えて、無駄な時間を過ごしたくはない。