番犬男子
あたしは一旦教室に戻り、置きっぱなしだったカバンを持って、再び教室をあとにした。
帰ろう。
お兄ちゃんに会いたい!
下駄箱でローファーに履き替え、校舎を出る。
急いで駅に向かって、タイミングよく到着した電車に乗った。
2駅隣の、地元の最寄り駅で電車を降りた。
ワンピースタイプの制服のスカートを、ひらり、ひるがえしながら駅内を歩いていく。
駅を離れ、帰り道を小走りで進んだ。
和風建築の一軒家が見えてきて、小走りではなく本当に走り出した。
おばあちゃんの家に着き、玄関の扉を開けた。
「ただいまー!」
「千果ちゃん、おかえり」
居間からひょっこり顔を出したおばあちゃんに、もう1回「ただいま」と繰り返した。