番犬男子
店の外に出て、素早く店の横の路地に入った。
繁華街を愚直に突っ切るより、路地を活用して遠回りをしてでも安全に移動したほうがよさそう。
ここで不良集団に捕まったら、元も子もないもんね。
丸々記憶している地図と、双雷に教えてもらった不良知識を応用して、入り組んだ路地を駆けていく。
狭い路地を通り抜け、繁華街の端に来た。
「あ、いたぞ!!」
げ。
出くわしてしまったのは、味方ではなく敵。
ここら辺を右往左往していた強盗犯が、路地から姿を現したあたしを発見し、こちらに突撃してくる。
武器になるような物は、手元に残っていない。
在るのは自分の身とスマホだけ。
引き戻って逃げてる間に体力も時間も浪費してしまう。
きっとお兄ちゃんが双雷のみんなに集合をかけるとしたら、人が大勢いる繁華街から離れていて、なおかつ双雷のテリトリー内に近い地点。
少なくとも、あたしの現在地からあとちょっと、西側に行かなくてはならない。